京都きものファッション協会Association of Kyoto kimono fashion

きもの・和装kimono

きもの(着物)や和装、着付けに関する情報を掲載しております。

国際文化交流  2009年ヨーロッパ文化首都記念事業 リトアニア 報告第2報  

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2009年ヨーロッパ文化首都記念事業の一環としてヴィリニュス市からの
要請をうけてチャリテーきものショー・きものパレードを行なった。

2009年10月5日成田からヘルシンキ経由で、ヴィリニュス空港へ、全国から28名の参加者
所要時間12時間程と、時間的にも体力的にも比較的楽な空の旅。

10月6日 着いた翌日からハードスケジュールが組まれている。
リトアニア国営テレビ朝の人気番組生出演の為、早朝午前6時ホテル出発。
モデルの皆さんは、ヘアーメイク・着付けと午前3時から準備を始めた。

テレビ局

スタジオでは軽くウォーキングをしながら、きもの姿を紹介。

リトアニア国営テレビ出演

テレビ画面に映る、三宅会長、バックではモデルのウォーキングが続く。

着替えもそこそこに、次に予定されている、カウナスへ向かう。
国立カウナス病院、小児癌病棟へ千羽鶴と日本からのお土産を
持参してのお見舞い。
小児癌センターお見舞い

手を差し伸べて語る少年

小児癌病棟に入院の子供達は、チェリノブイル原発の時お母さんのお腹の中で
被爆をしています。 現地通訳の岸田麻里亜さんから、日本のお土産の説明をしてもらう。

お土産の紙風船で遊ぶ少年

笑みを浮かべながら、紙風船を打ち返す、少年に胸が痛みます。
体を動かし友達と、スポーツや、遊ぶのが楽しい年齢なのに::::
「病気に負けないで頑張ってね」

リトアニア第2の都市、カウナスは「6000人の命のビザ」で有名な、日本のシンドラー
故杉原千畝氏(スギハラ チウネ)の赴任地だった領事館が、《杉原千畝記念館》として
保存されている。

故杉原千畝氏が「6000人の命のビザを発行したデスクにて

故杉原氏はこのデスクで、ガス室に送られるユダヤ人にビザを発行して
多くの命を救われました。日本国外務省からは許可を得る事が出来ず、
反発し、悩み苦しまれた結果人道的な勇気ある行動をとられた。

我々が行く数日前は、寒くてお天気も悪い日が続いていたようだが、
お天気女の集まりのお陰で、晴天続きでした。10月7日パレードと
きものショーの本番と一日スケジュールが詰まっている。
ヴィリニュス市長表敬訪問

ヴィリニュス市長公舎全員きもの姿で表敬訪問、ナヴィツカス市長と三宅会長。

きもの姿の参加者全員と市長を囲んで記念写真

市長を囲んで、艶やかなきもの姿に市長もご満悦。

18世紀の後半バルト三国(リトアニア・ラトビア・エストニア)は歴史的な
運命のもとでロシア帝国に占領された後、1990年に独立した。
在リトアニア日本大使館も昨年に大使が任命されたが、それまでは
臨時大使だった。日本国大使で女性大使は3名だそうですが、
その内の一人が、在リトアニア日本国特命全権大使、明石美代子大使。
在リトアニア明石美代子日本大使

在リトアニア日本大使館表敬訪問 正面左 明石美代子大使

大使館表敬訪問、明石大使を囲んで参加者

明石大使を囲んで、きもの姿の参加者と記念撮影。

1994年、ヴィリニュス旧市街が世界遺産になっている。
美しい旧市街にある、ゲディミナス大通り(日本の銀座通りのようなところ)
をきも姿で親善パレードをした。
パレード

日本から持参した、参加者全員自前のきもの姿で、さあー出発。

初めてのきもの姿に歓迎のパレード

紅葉が美しい公園で集合写真。
沿道には市民の皆さんが、初めて目にするきもの姿にカメラを向けたり、
手を振って下さり歓迎ムード一色。
すぐ傍にある、ショーの会場である《リトアニア国立ドラマ劇場》でショーの準備にかかりました。
ショーの本番を控え衣装チェックに余念のない着付けの先生方

自分の持ち場の衣装点検をする着付けの先生方。
現地モデルと初顔合わせ

現地外人モデルの方達と初顔合わせ。(ショーの内容や舞台についての説明)

ブライダルシーンノリハーサル

第1部の通過儀礼、結婚式のシーンでは花婿外人、花嫁は日本人と国際結婚。

初顔合わせから二時間後の本番に不安顔の現地モデル

初めてのきものショーのモデルになるのにとても不安顔。
本番までに2回しかリハーサルが出来ないんですから無理も
ありません。まあ本番のきもの姿に乞うご期待。

髪ノ多い外人モデルでも平気だよ

ヘアーの先生も、金髪で髪の多い外人モデルのヘアースタイル
を纏めるには大変。ターバン頭で「任せといて」何と頼もしいこと。
カメラ目線で、僕の袴姿いけてるでしょ

リハーサルなんでシャツが見えてるけど、「僕の袴姿決まってるでしょ」
とカメラ目線で余裕の5歳児モデル。
私も癌で帽子が取れないの、でも今日は着物が着られて嬉しい

「私も本当は日本のお嫁さんみたいな頭にしほしいけど病気で
お帽子が取れないの」小児癌に侵されているがどうしても日本の着物
が着たいとモデルになってくれました。
最後のフィナーレまで2時間近くかかったのに、大きなを目くりくりして、
周りのお姉さん達のきもの姿を熱心に見ていた、彼女の顔が脳裏から
離れない「彼女の人生で忘れられない思い出になる」と両親も大喜びだった。
両親も楽屋まで来てくれて大喜び

「僕の両親も楽屋まで来て写真をいっぱい撮ってくれてすごく嬉しかったよ」
金髪で青い目の子供でも、日本のきものは良く似合っていた。
いい笑顔で両親と記念写真。

僕は有名なテレビレポーターだよ

「僕の仕事はテレビのレポーターで売れっ子なんだよ。
今日はチャリティーのきものショーだからモデルをかって出たんだよ」
余裕の笑顔でハイピース。

オープニングの式典

ショーの開演です。オープニングの式典、ヴィリニュス市・福祉団体・明石大使
と三宅会長の挨拶。(明石大使もきもの姿でご出席)

きものショーの構成は三部構成で、一部は通過儀礼の紹介です。
ショーのトップバッターは宮参りのおばあちゃん役の大杖さん

生まれて初めての儀式の、宮参り祖母に抱かれて神社にお参り。

日本髪を結って上げたかったのに残念、ちさとママに手を曳かれて大きな舞台へ登場

七五三は三歳・七歳は女子、五歳は男児が「無病息災幸福」を祈願して
神社に参拝する。 七歳女児は癌を患っているので頭は帽子のままだった。
七歳男児は10歳くらいの大きな子供さん。(袴が短くてゴメンね)
皆履いてる足袋を僕も履きたい、と言いながら靴下で東條

夏祭りは《国際デート》、浴衣姿の彼と夏祭りにお出かけです。
大変長身で浴衣が短かったのですが、彼は「僕も足袋を履きたい」
と言ったのですが何とかソックスで我慢してもらったが、矢張り変。
海外の限られた条件の場合は、現場対応で処理することも大切である。
お正月の晴れ着姿、 

お正月には振袖・訪問着の晴れ着の装い。

僕の着流しの羽織姿決まってるでしょ。有名な武道家
  
男性の着流し羽織姿も海外では大変な人気。
お正月や、パーティーのシーンに登場。

初めてのきもの姿と思えないパーティーシーンの

普通のきものが着装方法でこんな素敵な〈きものドレス〉
になり、外人モデルの着こなしも素敵だった。

 日本人でもこんなに優雅に動けませんよ

 初めてのきもの姿でしかも、一度のリハーサルで
これだけの動きをしてくれた彼女達に頭が下がった。

国際結婚は現代版花嫁です
 
ブライダルシーン。花嫁さんは順日本風で、蔓に打ち掛け姿を紹介
するのですが、運送などの関係で現代風花嫁さんを紹介した。

どの国に行っても、日本のきものの着装でどうして着るのか?
又あの長い帯をどのようにして結ぶの?

定番の着付けソング 

唄できものを着る「きものをハイ着ましょう」「ワルツで帯結び」で
スピーディーに楽しくきものを着る着装方を紹介した。

今回のテーマは「きものは平和の使者」 第三部の一は日本の四季を
きもので表現した。
春の花 梅

初春に咲く梅の花を3点のきもので紹介した。

春の花 桜 

日本の国花であるさくらの花はどの国もよく知られている。
ヴィリニュス市に建立されている、故杉原千畝氏の記念碑の傍の公園にも
日本から持ち込まれたさくらの木が、昨年の打ち合わせに行った5月に可愛い花を
咲かせていた。今はさくらの時期には、お花見で賑わいを見せているようだ。

畝

ヴィリニュス市に建立されている故杉原千畝氏の記念碑(2007年5月30日
天皇皇后両陛下がお立ち寄りになられている)

さくら公園のさくら

初めて訪れたリトアニアで、五月に健気なさくらの花びらが、日り友好の絆
の強さを感じた。

夏の花 藤
 
夏に咲く藤の花を振袖きもので表現した。

夏の花 百合の花

大輪の百合の花が染められた振袖3点はまるで花園の雰囲気のよう。

秋の花 菊の花

秋は紅葉や菊の花、京都の有名な作家の作品が異国の舞台で花開いたようだ。

冬の花 椿の花

真っ白く降り積もった雪の間から、真っ赤に咲く椿の花は
見る人々の心を和ませてくれます。

冬の景色

冬の景色、薄墨ボカシと白で染められたきもの姿に
蛇の目傘、奥深い無彩色の美を表現した。

司会・ナレーターは

人気テレビ番組司会者のロランダス・ヴィルコンチュスさんの
司会で「三宅てる乃 平和のメッセージ朗読」
てる乃

罪のない子供達が傷つけられ、欲望や宗教の違いで
人と人が殺しあう戦争を無くしましょう。
世界平和を日本の伝統衣装を通じ祈りを込めて、
送った。と三宅会長の平和のメッセージ。

三部の二は「百花繚乱」文字ときものを表現。
古典文字 中川さん

古典文字を勉強している、中川麻希子さんが屏風に書を書いて披露。

左から,争/止/友と書かれている

右から「争」「止」「友」 争いを止めて平和で友情をとの願いを込めて書いて
くれました。この作品はヴリニュス市に寄贈された。

日本の漢字一文字できものを表現。

百華繚乱 雅

「雅」

艶

「彩」

曙

「曙」

妖

「妖」

光

「光」

艶艶

「艶」

粋

「粋」

華

「華」

虹

「虹」

点火

「遊」 光ファイバー点火

香

「香」

翔

〈翔」

転

「転」

転

「転」 引き抜き(糸を抜いている) 歌舞伎の引き抜きとぶっ返りの手法。

きものからドレスに転

「転」 きものからドレスに変身
フィナーレ

フィナーレ

七五三モデルと三宅会長

フィナーレです。七五三のモデルの子供達と三宅会長

「よく頑張ったね」ねぎらいの拍手を送る

お礼

リトアニアのモデルさんのも「お疲れ様でした」

スタンディング

700席の観客から、スタンディングオベーションが起こり、
拍手と歓声が何時までも続いた。

経済的には決して豊かな国とは言えないが、多くの苦しみを越えてきた
人達だけに暖かい声援が伝わってた。

フィナーレ

見たこともない日本のきもの文化を通して、舞台と観客が一体となり、
ベットに横たわる病める子供達に、ドネーションできたことは、大変嬉しい
真の文化交流になったと確信している。皆様ありがとうございました!

日本大使主催のレセプション

ショーの終了後、在リトアニア日本大使館主催のレセプションが開かれた。
レセプション

裏方スタッフも着替える時間もなく、ワインで乾杯。

着付けスタッフも駆けつける

大変だったけど良く頑張ったね

分、秒を争う早着替えのきものショーも、皆で助け合い大成功に乾杯。
いい汗の後の笑顔は最高。「しんどかったね」「穴あけずによく頑張ったね」
皆さんお疲れ様でした。